相続放棄申述の有無の照会

「息子が亡くなって、多額の債務があったようです。息子には離婚した妻との間に子どもがいますが、相続放棄をする方向で動いていると聞きました。私も相続放棄をしなければ、多額の債務を負うことになるのでしょうか。」といったご相談がありました。

 

本コラムの別記事でもご紹介のとおり、相続には法律で定められた次のような順位があります。そして、前順位の者全員が相続放棄をすると、次順位の方が相続人となります。

① 子又は代襲相続人

② 直系尊属

③ 被相続人の兄弟姉妹又は代襲相続人

※配偶者は常に相続人となる。

 

本件の場合、ご相談者は被相続人の直系尊属であり、第2順位の相続人となります。そうすると、息子さんの多額の債務を受け継がないためには、第1順位の相続人であるお孫さんが相続放棄をしたことを知った時から3ヶ月以内に、相続放棄をしなければならないというご状況でした。もっとも、ご相談者は、お孫さんが相続放棄をする方向で動いていることは、本人以外から聞いたものの、お孫さんは離婚した妻に引き取られたこともあり、直接連絡をとる関係にはなく、実際に相続放棄の申述を行なったのか、受理されたのかは分からないとのことでした。

 

本件では、当職らにおいて、お孫さんの相続放棄について照会を行ない、相続放棄の申述が受理されていることを確認後、熟慮期間内にご相談者の相続放棄の申述を行ない、無事に受理されました。

 

ご自身の置かれた状況が不明で、相続放棄を行う必要性や、行なうタイミングが分からない方も、お一人で悩まず、気軽に当職らにご相談いただければと存じます。

弁護士 立野 里佳

2021.03.27立野里佳